天然着色料は体に悪い？合成着色料との違い・メリット&デメリット・食品一覧を解説

天然着色料は、植物や虫から抽出された食品添加物で、食品に自然な色を付与します。

そんな天然着色料ですが、合成着色料との違いや体に悪いのかが気になる人も多いでしょう。

そこで本記事では、天然着色料は体に悪いのか、合成着色料との違い、メリット＆デメリット、含まれる食品一覧を詳しく解説し、安心して摂取できるかを科学的に検証します。

天然着色料とは？【食品添加物の種類・原材料・使用目的】

天然着色料は、植物、動物、鉱物などの天然由来の物質から抽出された食品添加物で、食品に色を付けて見た目を美しくし、食欲をそそります。

合成着色料と異なり、自然志向の消費者に支持され、清涼飲料水、菓子、加工肉などに使用されます。

種類は、色ごとに多岐にわたり、以下のようなものが代表的です。

原材料は、植物の花弁や果実、根茎、虫の体液などから抽出されます。

例えば、ターメリック色素はウコンの根茎を粉砕・抽出、β-カロテンはニンジンを加熱・精製。コチニール色素は虫のメスからカルミン酸を抽出します。これらは高純度に精製され、安全性が確保されます。

使用目的は、食品の視覚的魅力を高め、品質を安定させることです。

天然着色料は熱や光に弱い場合が多いですが、抗酸化作用（アントシアニンなど）を持つものもあり、健康機能も期待されます。

天然着色料は体に悪い？安全性・危険性について

天然着色料は、植物、動物、鉱物から抽出されるため、合成着色料より「体に悪い」というイメージが少ないですが、安全性と危険性について詳しく解説します。

安全性は、厚生労働省やJECFA（FAO/WHO合同食品添加物専門家会議）により高く評価されています。

天然着色料は、ADI（1日許容摂取量）が設定されるか、設定なしで安全とされ、食品中の使用量（0.01～0.5g/kg）は微量です。

さらに、天然着色料は体内で代謝・排出されるため、健康リスクは低いです。

例えば、β-カロテンはビタミンAの前駆体で、抗酸化作用を持ち、アントシアニンはポリフェノールとして健康効果が期待されます。発がん性の証拠はなく、体に悪い影響は通常の摂取ではほぼありません。

危険性として、天然着色料でもアレルギーリスクが存在します。

コチニール色素（虫由来）は、甲殻類やダニアレルギーの人（約0.1～1%）で発疹、かゆみ、まれに呼吸困難を引き起こす可能性があります。

クチナシ色素やベニハナ色素も、敏感な人（0.1%未満）で軽いアレルギー反応が報告されますが、発生率は低いです。

過剰摂取（ADIの数十倍）で消化器症状（下痢など）がまれに発生しますが、食品からの摂取ではこのレベルに達しません。

天然でも高用量の動物実験で懸念（例：クチナシのゲニポシドが肝臓影響）が指摘されましたが、ヒトでは確認されていません。

体に悪いという懸念は、心理的抵抗感（虫由来など）やアレルギーが主で、適量なら天然着色料は安全と考えていいでしょう。

ただし、アレルギー体質の人や敏感な方は原材料表示で確認し、出来るだけ避けると安心でしょう。

天然着色料は基本的には安全とされていますが、コーラ飲料に代表される多くの飲料に使われているカラメル色素（カラメルⅣ）には、製造過程で処理方法によっては「4-メチルイミダゾール（4-MEI）」が副生成されています。

この物質は、IARC（国際がん研究機関）により「ヒトに対する発がん性が疑われる」物質として分類されているため、カラメル色素には注意を払う必要があります。

天然着色料と合成着色料との違いは？

天然着色料と合成着色料は、食品に色を付ける食品添加物ですが、原材料、安定性、安全性、コストなどに違いがあります。以下で詳しく解説します。

天然着色料は、植物、動物、鉱物から抽出された色素です。原材料は、

などがあり、抽出・精製で高純度にし、自然な色合いを提供します。

違いとして、天然着色料は熱や光に弱い場合が多く（例：アントシアニンはpH変化で色が変わる）、コストが高いです。一方、健康機能（抗酸化作用など）を持つものもあり、自然志向の消費者に支持されます。

合成着色料は、化学合成で作られた色素です。原材料は石油由来や無機化合物で、

などが代表的です。

違いとして、合成着色料は熱・光・pHに強く、色調が均一で安定しています。また、コストが低く、鮮やかな色を少量で実現しますが、「人工的」とのイメージで避ける人もいるのが現実です。

安全性の違いとしては、両者とも厚生労働省やJECFA（FAO/WHO合同食品添加物専門家会議）が評価し、ADI（1日許容摂取量）を設定しています。

天然着色料はアレルギーリスク（コチニールで0.1～1%）、合成着色料はまれな過敏反応（0.01～0.1%）があります。

使用目的の違いは、天然着色料は自然派食品、合成着色料は低コスト・高安定食品に多いです。

天然着色料のメリット・デメリット

以下で、天然着色料のメリットとデメリットをわかりやすく解説します。

メリット

デメリット

天然着色料は自然派のメリットが大きい一方、安定性やコストのデメリットも。合成着色料と併用される場合が多く、原材料表示で確認し、好みに応じて選びましょう。

天然着色料が使われている食品一覧

以下は、天然着色料が一般的に使用される食品一覧です。

まとめ

天然着色料は植物や虫由来で、合成着色料は化学合成で安定性が高く、コストは低いが人工的なのが特徴です。

天然着色料のメリットとしては、自然志向、健康機能であり、デメリットは安定性低さ、アレルギーリスク（コチニールで0.1～1%）です。

ただし、一般的な安全性としては厚生労働省やJECFA（FAO/WHO合同食品添加物専門家会議）が評価しており、ADI（1日許容摂取量）内で健康リスクはほぼないとしています。

適量なら体に悪影響はないとされていますが、アレルギー体質の方や敏感な方は、原材料確認をして出来るだけ避けると安心でしょう。