加工デンプンの危険性は？人体への影響・発がん性・アレルギーリスク・安全性を解説

加工デンプンは、レトルト食品や冷凍食品、飲料飲料などに使われる食品添加物で、増粘・安定剤として欠かせません。

そんな加工デンプンですが、人体への影響や発がん性、アレルギーリスクが気になる人も多いでしょう。

そこで本記事では、加工デンプンの危険性、人体への影響、発がん性の真偽、アレルギーリスク、安全性を科学的に解説し、安心して摂取できるかを検証します。

加工デンプンとは？【食品添加物の原材料・種類・使用目的】

加工デンプンは、でんぷんを物理的・化学的・酵素的に処理した食品添加物で、増粘剤・安定剤・ゲル化剤として幅広く使用されます。

原材料は、とうもろこし、じゃがいも、タピオカ、米、小麦などのでんぷんです。天然でんぷんを酸処理、酵素処理、架橋処理、エステル化、酸化などで改質し、粘度・耐熱性・耐酸性を向上させます。

種類は用途に応じて豊富で、主なものとして、

など12種類あります。

効果は、食品の食感・安定性を劇的に改善すること。レトルトカレーでは加熱後のとろみ維持、アイスでは氷結晶抑制で滑らかさ、ドレッシングでは分離防止、グミでは弾力を付与します。

また、耐熱・耐酸・耐凍結性が高く、工業的に優れた効果を発揮します。

使用目的は、食品の品質向上と保存性強化です。レトルト食品、冷凍食品、乳製品、飲料、菓子、惣菜などに使用され、消費者の満足度を高めます。

加工デンプンの危険性や人体への影響は？

加工デンプンの危険性や人体への影響について詳しく解説します。

まず、加工デンプンの安全性として、厚生労働省により「既存添加物」として承認され、JECFA（WHO/FAO合同委員会）も安全と評価しています。

ADI（1日許容摂取量）は設定されておらず、食品中の使用量（1～10%）は微量で、体内で通常のでんぷんと同様に消化・吸収され、エネルギー源となります。

加工デンプンの人体への影響として、通常の摂取では健康リスクは極めて低いです。発がん性の証拠もなく、動物実験での懸念（高用量投与）はヒトでは確認されていません。

そして、加工デンプンの危険性として、過剰摂取（1日数百g、通常の数十倍）で消化器症状（下痢、腹痛）が報告されることがありますが、食品からの摂取ではこのレベルに達しません。

アレルギーリスクは、原材料のでんぷん（特に小麦、とうもろこし）にアレルギーを持つ人（約0.1%未満）で、まれに発疹や消化不良が報告されますが、精製過程でアレルゲンは大幅に除去されます。

化学処理（エステル化、架橋）で残留する微量の化学物質（例：プロピレンオキシド）は基準値以下で、危険性はほぼありません。

人体への影響をまとめると、

となります。

つまり、加工デンプンの危険性は基準内使用でほぼなく、人体への影響は通常のでんぷんと同等と考えていいでしょう。アレルギー体質の人は原材料表示を確認し、注意すれば安心です。

加工デンプンの発がん性やアレルギーリスクは？

加工デンプンの発がん性やアレルギーリスクは、通常の食品添加量ではほぼ存在しないとされています。

発がん性について、動物実験やヒトの疫学研究で加工デンプンががんを引き起こす証拠は見つかっていません。IARC（国際がん研究機関）やNTP（米国国家毒性プログラム）でも発がん性物質に分類されていません。

過去に化学処理（エステル化、架橋）で使用の微量残留物（例：プロピレンオキシド、塩化エチレンオキシド）で懸念が指摘されましたが、現在は基準値以下に管理され、発がん性リスクは確認されていません。

食品中の使用量（1～10%）は微量で、体内で通常のでんぷんと同様に代謝・排出されます。

そして、加工デンプンのアレルギーリスクは、原材料のでんぷん（特に小麦、とうもろこし）にアレルギーを持つ人（約0.1%未満）で、まれに発疹、かゆみ、消化器症状が報告されます。

しかし、精製過程でタンパク質は大幅に除去されるため、アレルギー反応は極めて低いです。セリアック病（小麦グルテン不耐症）の人は小麦由来加工デンプンに注意が必要ですが、多くの商品はグルテンフリーとなっています。

適量使用なら安心のため、原材料表示で確認を推奨します。

欧州食品科学委員会（SCF）では特定の2種類に対して発がん性の可能性が否定できないことから、乳幼児向け食品に使用は禁止になっています。

それらは、発がん性があるとされているプロピレンオキシドやプロピレンオキサイドを使用する「ヒドロキシプロピルデンプン」「ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン」です。

それに対し日本では「長年、食品として使われてきて安全性に問題がなかったことと」「食品安全委員会の試験（食品健康影響評価）において、添加物として適正に使用される場合は安全性に問題はないこと」から、制限なく利用されています。

加工デンプンは一括表記されてしまうため、どの加工デンプンが使用されているかは消費者にとっては不明です。

そのため、気になる方や敏感な方、小さなお子様に対しては出来るだけ避けると安心でしょう。

加工デンプンの安全性や表示義務は？

加工デンプンの安全性と表示義務について解説します。

前述のとおり、加工デンプンの安全性は、厚生労働省により「既存添加物名簿」に収載され、JECFA（WHO/FAO合同委員会）も安全と評価しています。

ADI（1日許容摂取量）は設定されておらず、食品中の使用量（1～10%）は微量で、体内で通常のでんぷんと同様に消化・吸収されます。

そのため、安全性は高く、日常的に安心して摂取できるとされています。

表示義務は、食品衛生法に基づき、加工デンプンは「加工デンプン」と一括表示が認められています。

しかし、具体的な処理方法（酸処理、ヒドロキシプロピルなど）や原材料のでんぷん種（とうもろこし、じゃがいも）は表示義務がなく、消費者が詳細を知るのは困難です。

アレルギー対応商品では「小麦不使用」「グルテンフリー」と任意表示される場合があります。

表示義務は簡略化されていますが、安全基準は厳格に管理されています。

原材料表示で「加工デンプン」と確認し、アレルギー体質の人は原材料のでんぷん種に注意すれば安心です。

まとめ

加工デンプンはレトルト食品、アイス、ドレッシングなどに使用される添加物で、品質向上に役立ちます。

加工デンプンの安全性は厚生労働省やJECFAが評価しており、ADI設定なしで健康リスクはほぼありません。

発がん性の証拠もなく、人体への影響は過剰摂取での消化器症状やアレルギー（発疹、0.1%未満）がまれに発生しています。

食品例はカレー、ヨーグルト、冷凍食品などに含まれており、適量なら危険性はありませんが、気になる方や敏感な方は原材料確認でをして出来るだけ避けると安心でしょう。